葉っぱと土鍋と甘酒と

~ていねいな暮らしをしていると勘違いされる日々~

21/01/31 *「せつない」言い得て妙の鬼話

今週のお題「鬼」

 

こんにちは。

葉っぱと土鍋と甘酒と 管理人、GreenTea2020です。

 

はじめて聞く「せつない」

子が言葉を覚え、大人とそこそこ会話が出来るようになった頃。

「泣いた赤鬼」の舞台を観ました。

子は物語自体は知らなくて。歌は好きで。

舞台がミュージカル仕立てとのことで、歌が沢山聞けるだろう、子が喜ぶだろうと思い連れていきました。

 

さて、舞台も終盤。

大柄の役者さんの迫真の演技と大きな声に、怖いと泣いている小さお子さん達も見受けられる中、うちの子もシクシクというか、ポロポロと涙をこぼしはじめまして。

喜ぶと思って連れてきたけれど、初めての舞台観劇で怖い思いをさせちゃったかなあ、と心配顔の新米親(ワタクシ)。

 

そこで、子が一言。

「あのね、せつないの。

 青鬼さん、やさしくて、悪いことなんにもしていないのに、なんで・・・。」

(ポロポロポロ〜(;_;))

 

せ、せつない?

こわいのー、かなしいのー、ではなく?

せつない、ですか。わかりました。なぐさめましょう。

 

”青鬼さん”になぐさめてもらう

 舞台後、役者さん達がエントランスでお見送り。

特に、鬼を怖いと思った子ども達(泣き顔になっている)には、笑顔でやさしくバイバーイと声掛けされていました。

青鬼さん発見!

お一人(お一鬼?)になったスキに、ササッと近くまで行くと、

もう、完全に泣き顔のうちの子を見つけて、

「僕たち、怖くないからね、ほんとは優しいんだよ。」と声かけてくださって。

ここは、ささやき女将さん(ワタクシ)の出番。

「あのぅ、せつないのだそうです。

青鬼さんはやさしくて悪くないのに、なんで?って泣いちゃって。

今、元気です、って感じをアピールしていただけると助かります。」

と小声で伝えたところ、

ちょっと驚いた後、青鬼さん、

「大丈夫だよ、赤鬼くんも幸せだし、僕も幸せだから。」と一言。

言葉は少なかったけれど、目が笑顔。さすが役者さん!

子は妙に納得し、青鬼さんにハグしてもらい、安堵の表情で帰宅の途についたのでした。

 

使っていないと思うのだけれど

子は、親が使う言葉を真似したり使ったりしがち、とよく聞きます。

せつない、という言葉・・・子が小さい頃に使った記憶があまりありません。

何かの本で読んだのかなあ。

それとも私が知らず知らずに使っていたかなあ。

今でも謎です。

 

「大丈夫だよ、赤鬼くんも僕も幸せ。」

確かに、「泣いた赤鬼」は、大人(ワタクシ)が観ても、せつなかったのです。

かなしくてやりきれない。

 

物語を、大人は経験値から複雑に捉えてしまうことがありますよね。

「えー、これじゃあ、青鬼さん、丸々損だ。いい事ないっ。」

「こんな形で知り合いが増えたからって、赤鬼さんもそれで幸せなの?」

等など、口に出さなくても心でつい思ってしまった私。

いやいや、子ども向けの舞台ですが、真剣に観た結果です。ご了承くださいませ〜。

 

大切な人を思っての行動が、その人を不幸にするなんて。

報われないことはいっぱいあると、とうに知っているけれど、何とかなりませんか?

 

そんな大人の願望も叶えてくれた一言。

「大丈夫だよ、赤鬼くんも幸せだし、僕も幸せだから。」

 

そっか、よかった〜。

 

青鬼さんは、今も旅の途中か、はたまたどこかで新居を構えたか。

そのやさしさに見合う、せつなくない日々を送っていますように。

 

 

〜GreenTea2020〜